言葉の源や来歴を
追っていくことで
より深く正確な読みができ、
表現の意図に迫れる。
外国語学部
中国学科
武井 満幹 教授
研究の魅力
研究では作品をどう読み解くか、解釈するかが非常に大事です。その手がかりとなるのは作品に使われている言葉や表現であるのですが、中国の詩文の特徴として、そこに使われている語や表現の背後には、よりどころとなる古典や先行する作品の用例があるもので、単に表面的な意味だけでなくその背後にあるものも一つ一つ探ることが必要となります。難しくてすぐに読めそうにない詩句の場合は読もうとしていろいろ調べるので良いのですが、平易ですぐ意味がわかるような詩句の場合は、わかってしまうがゆえに背後にあるものを見落としてしまう恐れがあります。そうやって言葉の源や来歴を追っていくことで、より深くより正確な読みができ、それだけ作者の心情、表現の意図に迫ることができます。
研究の源
読めなかった詩句が読めたときの喜び、的確な用例や出典を探し当てたときの喜び、用例を探し出したり関連付けたりして自分なりの理屈がつけられたときの喜び、またどうしても読めない、意味の分からない句に出会ったときにとことん調べてやろうと思うこと、こういうものが源になっていると思います。
研究の未来
言葉へのこだわりは、作品や作者の表現の特徴を明らかにするほかに、後世の受容についても見ていくことができます。いまはなかなか手を付けられずにいるのですが、陶淵明の受容に関してまだまだ検討の余地があると考えているので、今後そこを考えていきたいと思っています。また『文選』も陶淵明も日本の文学と関わりがあるので、その点も考えてみたいと思っています。ただその領域に踏み入るためにはもう少し日本文学について知る必要がありますが。
ゼミのイチオシ
ゼミ生に聞きました。――「文章の読解力が高まる」「他の人の訳し方がわかり参考になる」「難易度が高いが、調べがいがあるし考察のしがいもある」「資料の準備期間が十分ありその間に担当箇所と向き合うことができる」「一言一句丁寧に解説してくださる」「文法や知識、背景を丁寧に教えてくださる」「文法的に大きく間違っていなければ、訳に幅を持たせてくださる」など。
- 先生のイチオシ
古典の作品を読むということは、時空を越えたコミュニケーションであると思います。またそれと向き合うことは相手のことを知ると同時に自分自身に向き合い自分自身を知ることでもあると思います。
- オフショット
日本の歴史が好きなもので、城をはじめとして史跡を訪ねまわるのが好きです。本も歴史の解説書や時代小説をよく読みます。また古い地図を眺めるのも好きです。
武井教授
プロフィール
専門は中国古典文学で、3C?6Cの六朝とか魏晋南北朝とか呼ばれる時代の文学を研究しています。具体的には陶淵明をはじめとする東晋の文学と『文選』です。中学生の時にNHKの人形劇三国志を見たのがきっかけで中国の歴史や文学に興味を持ち、高校の時の漢文の授業でその興味が増幅し、大学で中国の文学を学んでみようと思いました。本学では専攻外国語の中国語とゼミを担当しています。ゼミ以外で自分の専門について話す機会はありませんので、私の専門を知っている学生はあまりいないかもしれません。ゼミでは『三国志演義』を学生と一緒に読んでいます。